以前に2週間ほどの間お世話になっていた「女性一時保護施設」
元夫のDV・モラハラから脱出するために手助けしていただいた事もあり、私にとっては「人生の軌道修正の始まり」を作っていただいた場所でもありました。
どうしてもその性質上、「暗い」「決まりが厳しい」「自由がない」などネガティブなイメージが強い施設ではありますが、本当に困っている女性の大きな味方になってくれる場所であることには違いありません。
今回は、実際のとある施設内での一日を書いていきたいと思います。
(施設により、決まり事が異なる場合もありますのであくまでも一例として読んでいってくださいね。)
朝、起床・清掃・朝食
朝7時に起床の音楽が鳴り、利用者は起床します。あらかじめ決められた共有スペース(トイレや廊下など)の清掃をし、8時から朝食となります。
起床
起床時には部屋の布団はたたむことが原則ではありますが、小さな子どもを連れている場合はそのまま寝かせておくことも可能ではありました。しかし、大人の目がない中で当時1歳になったばかりの息子を置いておくことに対して不安がありましたので、息子が起きているときにはなるべくおんぶをして共有スペース内の清掃をしていました。
清掃
清掃個所はあらかじめ割り当てられていました。
3~4日に1度くらいのペースで分担個所の交代がありましたが、私の場合は「小さな子がいる」ということも考慮され、居室から近い場所や、比較的簡単に終わるようなか所での清掃を割り当てられることが多かったです。
朝食
清掃が終わり、身支度を整えると朝食の時間になります。
8時に食堂へ向かい、利用者全員で食事をとります。(コロナ前の話です)
食事は施設の外で作られたものを搬入する形で用意されました。おそらくですが、外部の業者が介入しているというより、セントラルキッチン的な個所が近くにあってそこで作られたものを運んでいるような形式でした。
配膳も施設内の職員によって行われるため、配膳後に利用者が席について食事をするというスタイルだったため、利用者が食事の用意をすることはありませんでした。
ただし利用者は、食事後には自分で使った食器を洗って拭き上げて片付けるところまで行う必要がありました。
午前中、居室内の清掃・面談・洗濯など
朝食が終わった後は、自分が使っている居室内の清掃や洗濯などをおこない、合間に職員との面談をおこなったりもします。
居室内の清掃
私が利用した施設では、ほうきとちりとりの貸し出しがされていましたので、その2つを使って簡単な清掃をおこなっていました。とは言っても、8畳1間の家具もない部屋でしたので清掃自体はすぐに終わり、すぐに空き時間となっていました💦
洗濯
2日に1度の利用ではありましたが、利用者同士が共有して使うことのできる無料の洗濯機が2台あり、洗濯をすることができました。ただし、洗濯乾燥機はありませんでしたので、自分の居室内のハンガーを使って干すことになります。
施設内にベランダもありましたが、施設の特性上「窓をあけてはいけない」となっており、洗濯物も『部屋干し』が決まりとなっていました。
面談
午前か午後の空き時間に施設の職員との面談時間が設けられることがあります。(毎日ではありません。)
主には、
- 今後どうしたいかの意思確認
- 保護施設を出た後の行き先の話し合い
- 弁護士の手配(必要に応じて)
- 困っていることは無いか?など日常的なこと
を話し合います。
正午、昼食
朝食同様、食堂に向かい食事をとります。もちろん片付けまで行います。
午後、おやつ・入浴時間・夕食
午後はゆったりと過ごすことが多かったですが、夕方位からは少し慌ただしくなったりもしました。
おやつ
少し驚きでしたが、15時には何とおやつも出ました。
基本的にはコーヒーか紅茶か緑茶の中から1杯選ぶことができ、お茶菓子も一人1セットいただけました。
私は子どもたちもつれていましたので、子ども用に一口ゼリーをもらうこともできたので、当時1歳の息子もおやつを食べることができました。子どもは甘いものを欲しているだろうからと、私のお茶菓子を当時5歳の娘に分けることもありました。
入浴
入浴は毎日行うことができました。浴室は2か所ありましたが、入浴可能時間が決まっていたことと、時間指定での予約制となっていたため、おやつ後からの時間は少し慌ただしかったです。
入浴に関する決まり事としては、
- 1世帯16時から18時までの15分刻み
- 使用後の浴室はきれいにすること
です。
大人一人であれば、それほど大変なことでもありませんが、幼い子どもを2人と一緒に入浴を済ませないとならないことを考えると、予約時間から頭を悩ませることになりました。
- 息子の授乳時間との兼ね合い
- 夕食時間との兼ね合い
- できることなら自分のすぐ後に予約者がいないほうが助かる(いけないことだが、時間を超えてしまう可能性も考えて)
時間に縛られる生活の中で一番悩んだのは、「入浴時間の調整」だったのは言うまでもありません。
夕食
18時半には夕食です。朝食・昼食と変わらず片付けまでおこなって一日の食事全てが終了です。
夕食後~
夕食が終わると、22時の消灯まで自由時間です。
とは言っても、居室にはテレビもありませんし、携帯電話やペンなども入所時に没収されていますので特にやることは無い状態なのです。
ですが、子どもたち用にキッズルームの開放はしてくれていましたのでちょっとした遊びやDVD鑑賞などはおこなうことができました。
消灯
消灯時間になると、強制的に電気が消され、部屋の中は真っ暗になってしまいます。(常夜灯もありませんでした)街灯の明かりだけがぼんやりとしているだけの部屋で布団に入ります。
居室ないは、電灯はつかないものの、空調はきかせてくれていたので利用当時の1月でも寒い思いをすることはありませんでした。
さいごに
今回は、「女性一時保護施設の一日」を書いてみました。
今思うと、結婚して以降の人生で「一番のんびりと過ごすことができた期間」だったのかもしれません。というのも、家事全般の中で大きな割合を占める「食事の準備をしなくても良かった」からです。
- 食材の買い出し
- 献立を考える
- 調理する
- 配膳する
以上を一日3回…。この時間が空いただけでも、自分の今後を考える時間に充てることができたので、元夫から逃れて混乱していた私の脳内に落ち着きを取り戻すためのいい時間となったのではないでしょうか?
よく「刑務所のようだ」と例えられがちな女性一時保護施設ですが、大きな違いがあるとするならば、「収監されている」ではなく、「保護してもらっている(守ってもらっている)」ということです。
その証拠に、保護施設内の職員はみんなが利用者の味方であるからです。
利用者のその後の人生を一緒に考えてくれます。どうしたいかという希望も聞き入れてくれます。私の場合は「夫と離婚して母子家庭として暮らしていきたい」でした。そしてこの希望に反対する人はひとりもいなく、今現在につながったのです。
女性一時保護施設は、本当に様々な人が利用します。
DV・モラハラから逃れてきた人はもちろん、家を出されて行き場がない人、何かしらの事情を抱えた人などが人生の立て直しのきっかけをもらうために利用します。そのため、規則が厳しめになってしまうことも、利用者同士があまり関わらないことも仕方がないことだと感じるのです。
時間厳守での生活ではありましたが、施設内の秩序を保つためにも仕方のないことであると痛感したのです。