今から20年ほど前の昔話…。まだ私が若かったころのことです。
就職氷河期ともいわれた当時は、決して景気が良い時代ではありませんでした。
特に飲食店は景気のあおりを受けやすく、経営が大変なところも少なくなかったと思います。
転職活動中でした
当時私は、それまで働いていた飲食店を辞め、つなぎで別の飲食店でアルバイトをして次の就職先をなんとなく探していました。
つなぎのアルバイト先は、自宅から自動車で10分ほど。15時入り21時または22時までのシフトで勤務をしていました。主な仕事は料理出しとドリンクを作ることでした。
正社員ではありませんでしたが、アルバイトの中では主軸として採用していただけ、同僚や先輩が他ともそれなりに仲良く仕事をしていました。
日中に転職先を探し、夕方から仕事という生活をしていたのです。
いきなりの閉店宣言
ところが、バイトの勤務を始めてちょうど1か月、事態が急変したのです。突然店員全員に店長から重大発表があったのです。
「明日から、店を閉めます。」
当然ざわつきます。
確かに繁盛している…とは言えないお店でした。何なら暇すぎるくらいでした。
ですが、新規でアルバイトを募集しているくらいだっだし、まさか閉店するなんて夢にも思わないですよね。そのまさかが現実に起きたのです。しかも翌日から「来なくてよい」と全従業員に通達です。
正確に言うならば、「正社員は次を引き継ぐ会社に残ることも可能だが、アルバイトは解雇」でした。
アルバイトの人は無条件に翌日から出勤できません。
正社員は、次の会社に在籍するか、退職するかの2択でした。
アルバイトに対しての会社側の対応
突然の閉店の知らせでしたので、無条件で解雇予告手当(1か月分の給料相当額)をもらうことができました。もちろん私もいただきました。
もともとつなぎバイトで、腰を据えて働くつもりはなかったので、これをラッキーととるのかショックととるのか…というところですが、私はラッキーととりました(;^_^A
さっさと次を探そう!!
と思えたからです。
正社員に対しての会社の対応
このことを機に退職する人はアルバイト同様に解雇予告手当をもらうことができます。
次を引き継ぐ会社に在籍する選択肢もあります。
ところがこの時勤務していた正社員は、ほぼ全員辞めることにしたようでした。
実はこの正社員の中には店長も含まれていたのです。(雇われ店長だったためです。)
解雇予告手当とは
従業員に対して30日以上前に解雇予告をしないで解雇する場合に支払い義務のある手当です。
なぜ正社員は退職を選んだのか?
経済の浮き沈みに左右されやすい飲食店とはいえ、雇用形態上アルバイトよりはかなり優遇されている思われる正社員の人たち。
会社側からの提案では、
- 次を引き継いでくれる会社に引き続き勤務することもできる
とされていました。
条件等、細かなことまではわかりかねますが、「失業」することを回避できる選択肢も用意されていました。
しかしながら、みんな口を揃えて「やめる」と言っていたのです。
それには理由があったのです。
店の閉店理由
なぜ、急に予告もなく店が閉店してしまったのか…。
もともと、この飲食店はとある食品会社が経営していた店舗でした。
その食品会社はいわゆる家族経営です。
ところが、飲食店経営が厳しくなってきた時期に、系列の親族が経営する会社の傘下に入ることが決まったようでした。
要するに吸収合併されたと言う事らしいのです。
元々の会社が事実上なくなり、親族の会社になってしまうと言う事で、親族側の人材を主に働かせたいために、それまでの従業員が必要なくなったと思われます。
勤めていた飲食店は完全に親族が引き継いで経営する方向のようでした。
閉店の話は前々から出ていた?
当時私もまだ若かったので、周りの状況に気が付くこともできませんでしたが、この話は前々から出ていたように思います。
なぜなら、この話を聞いた日に解雇予告手当をいただいたのですから…。
すでにお金が封筒に入れられて準備されていたということは、そういうことですよね…。
結局従業員全員がやめた
アルバイトがほとんどだったとはいえ、正社員も何人かいたのですが、全員が解雇予告手当をもらって退職することを選んだのでした。
さいごの勤務日となったこの日は店の営業はなく、店長をはじめ正社員・アルバイト全員で店の掃除・後片づけをして混乱の中、お互いの別れを惜しんだのでした。
その後、このアルバイト先で出会った人たちとはお会いすることがなくなってしまったので、彼らが今どうしているのかは知る由もありませんが、みんな元気に生きていることを願っているのです。
その後飲食店はどうなったのか?
当時私も職探し(すぐに見つかりましたが)から、勤務でいそがしく、この店のことを忘れつつありましたが、1年ほどして店の前を通りかかった時には、飲食店そのものはなくなり、携帯電話ショップとなっていました。
親族の人も経営に失敗したのでしょうか?
さいごに
今回は、私が経験した「事実上解雇された話」いや、「退職した話」でした。
勤務からたった1か月のことでしたので、驚きと戸惑いと、手当をもらえたことにラッキー感のあった出来事でした。
ちなみに、この後就職した会社では10年以上勤務することになるのですが、これはまた別の話です。