トリプルLIFE

ひとり親家庭を切り盛りする母が実際の経験をもとに書くブログです。

  

母子生活支援施設 実際の入所経験者が感じたメリットデメリット

かつて母子生活支援施設で生活をしていたことのある私は、約2年弱の入所期間の間で、様々な人と出会い、別れてきました。

自分と同じような境遇(元夫からのDV・モラハラ)から逃れるために入所した人もいれば、金銭的に困っての入所の人もいました。

母子生活支援施設は常にほぼ満室であり、「空きが多いかな?」と思うときでさえ30室中4室程度の空きであったので、常に生活に困っている世帯が空き室の順番待ちをしているのであろうことは容易にうかがえました。

今回は、様々な人を見てきた中で、「母子生活支援施設に入所したほうが良い家庭」と「母子生活支援施設の利用はちょっと考えたほうが良い家庭」について書いていきたいと思います。

母子生活支援施設とは

まず初めに「母子生活支援施設」について少し説明します。

母子生活支援施設とは、1947(昭和22)年に制定された児童福祉法に定められる施設です。 <児童福祉法第38条>
母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。 18歳未満の子どもを養育している母子家庭、または何らかの事情で離婚の届出ができないなど、母子家庭に準じる家庭の女性が、子どもと一緒に利用できる施設です。(特別な事情がある場合、例外的に入所中の子どもが満20歳になるまで利用が可能です) 母子生活支援施設とは | 社会福祉法人全国社会福祉協議会 全国母子生活支援施設協議会 – 全母協  より一部抜粋

母子生活支援施設という名称から「母と子のための施設」と思われがちです。この考え自体も間違ってはいませんが、正確には 母の支援を通じて児童への利益になるように働きかける児童福祉事業なのです。

児童福祉施設は、

  • 保育所(多くの方が利用をされていますね)
  • 乳児院
  • 養護施設
  • 母子生活支援施設
  • 助産施設
  • 児童厚生施設
  • 知的障碍児施設
  • 知的障碍児通園施設
  • 盲ろうあ児施設
  • 肢体不自由児施設
  • 児童自立支援施設
  • 児童心理治療施設
  • 重症心身障碍児施設
  • 児童家庭支援センタ児童家庭支援センター

など多くの施設があります。

 

 

母子生活支援施設への入所を考え直すべき人

母子生活支援施設はあくまで「施設」であるため、様々な決まりごとがあります。

入所した各家庭がある程度快適に過ごせるように、一般的な賃貸と同様に各世帯ごとに居室は用意されていますが、一つの箱の中の一角にすぎません。

母子生活支援施設の中の居室で生活すると思ってもらった方が良いと思います。

係がたくさん

同じ箱モノの中で一部が共同生活のようなものとなりますので、

  • 共有部分の清掃当番あり
  • 会合あり
  • 夜間の見回り当番あり(施設によって違いあり)
  • ゴミ当番あり
  • 資源回収当番あり(小中学生の親が中心)

など、町内会張りの活動があります。(しかし、町内会はまた別に活動があります…)

まずここまで聞いて「面倒くさいな…」と考えた方は、母子生活支援施設での生活は苦痛のものとなります。

だがしかし、母子生活支援施設はこれだけではありません。

外出外泊に関しては厳しめ

近年、DV・モラハラから逃れるために入所している人も多いこともあって、外出や外泊に対しては厳しめです。

  • 門限は22時
  • 朝は6時をすぎないと外出できない
  • 外泊は都度許可が必要
  • 出勤・通学のための外出も事前に勤務先や学校の所在地を職員に伝えておかなくてはならない
  • 居室に在宅か不在かを職員が把握している(専用の札がある)

これらのことを「監視されている」ととらえる人は入所することを考え直した方が良いかもしれません。

外部の人の居室内への訪問に対しても厳しい

母子生活支援施設内で生活している人以外の人が、個人に割り当てられている居室内への訪問に対しても厳しいです。

生活する中でお友達や自身の親などが訪問することもあります。しかしその場合にも職員に対して手続きが必要となります。気軽にお客さんを招くことはできないのです。

私が利用していた場所では以下の決まりがありました。

  • 訪問は20時まで
  • 中学生以上の男性は訪問禁止(子どもの友達でも不可でした)
  • 利用者の父や兄であっても女性親族同伴でないと訪問できない
  • 女性の訪問に関しては制限はないが、職員への報告の義務はある(どういった間柄かなど)

賃貸や持ち家との違いは、お客さんを気軽に呼ぶことができないということです。

自身の親や親族に頻回に会いたくなってしまう人や、監視されている感を強く感じる人にとっては「暮らしにくさ」を感じることになるでしょう。

居室は狭い

親一人子一人くらいであればあまり気にならないと思いますが、間取りは一番広いところでも2K(6・4.5・K)でした。(施設によって広さは違うと思いますが、一時的な入所が前提ですので充分な広さはないと思います。)

親一人と子ども3人くらいまでは、2Kの間取りでの生活をお願いされることになります。正直言って広くはありません。居間と寝室に分けて使用するくらいですかね💦

子どもが男女であった場合、子どもたちが年頃になってくると親としては少し考えたくなる間取りです。

一時的な住居だから…と妥協できる人であれば良いのですが、同じ場所で長く暮らしたい、2Kってやっぱり狭いな…と感じる人は入所を考え直した方が良いかもしれません。

 

 

母子生活支援施設に入所するべき人

基本的には以下に該当しない人であれば、上記にあげたデメリットさえも気にならないくらい快適に過ごすことができると思います。

  • 頼ることのできる親族がいる
  • 賃貸にしようか、公営住宅にしようか、母子生活支援施設にしようか…など複数の選択肢で迷っている
  • 今現在、生活が成り立っている
  • 異性との交際を行っている、または結婚の予定がある

反対にいえば、これに該当しない人は「母子生活支援施設の入所を考えるべき」だと感じます。

では説明していきます。

頼ることのできる親族がいない

身内の中に一人でも頼ることができる人がいる場合は、

  • 同居させてもらう
  • 賃貸契約時に保証人になってもらう
  • 近くにいて相談に乗ってもらいやすい
  • 子育てを手伝ってもらえる
  • 気軽に行き来ができる

など、身内だからこそ頼むことのできるメリットも多いです。

部屋数的に同居が難しい場合でも、公営住宅の保証人になってもらうことが可能であれば、わざわざ「母子生活支援施設」に入らなくても、公営住宅に応募して引っ越すことで無駄な引っ越し費用も1回分は削減できます。

しかしながら、「頼ることのできる身内が一人もいない人」もいます。私もそうです。そういった人は、充分に利用価値があります。

母子生活支援施設は、入所前に一応面接はあるものの、よほどの変人でない限り入所を断られることはありません。

面接はありますが、

  • 保証人
  • 敷金や礼金などの金銭

などは一切必要なく、着の身着のままでも入所すること自体は可能です。(ただし、光熱費等は自分持ちですので、当座の生活費は必要です)

とりあえず雨風がしのげて生活の基盤をしっかりとさせたいと思っている人にとっては、とてもありがたい施設となります。

住居の選択肢がない

先にあげた「身内問題」と重なりますが、自分自身で賃貸契約を結ばないといけない立場の人にとって、保証人になってくれそうな人がいない場合、子どもを連れての賃貸契約はなかなか難しいと思います。

それでも、

  • 保証会社の利用
  • URでの契約(家賃1年分先払いすることで保証人なしで入居できます。)

など、手段はないわけではありません。

ただ、まとまったお金が必要になってしまうこともありますので、みんながみんな気軽に賃貸契約できるわけでもありません。

その場合も、母子生活支援施設に一時入所して、働きながらお金を貯める方法をとることもありです。

母子生活支援施設は基本無料~格安賃料(数千円程度)で居室が貸し出されますので、「家賃を払ったつもり貯金」をしていくことで比較的短期間で、まとまったお金を貯めることができます。

ゆくゆくは「安心して暮らしていくことができる住居に引っ越すことを目標」に母子生活支援施設への入居も良いでしょう。

子育てを手伝ってくれる身内がいない・気軽に相談できる人がいない

母子生活支援施設には多くの支援員さんがいます。子育てに対する不安やこれからのことなど何でも相談することができます。時には子どもの保育も行ってくれます。

今現在一人で悩んでしまっているお母さんの力になってくれる人がたくさんいます。

  • 子どもをたった一人で育てなくてはならない不安
  • 相談できる相手がいない
  • 今後の生活が成り立たない…

こんな人は母子生活支援施設に入所するべき人です。

 

 

配偶者のDV・モラハラから逃れたい人はいわゆるシェルターへ

母子生活支援施設は、所在地、電話番号などは全て公開されています

ホームページなどで写真がアップされているところもあります。

ですので、私たち一般人でも簡単に場所を特定することができます。全国での施設数でもわずか300弱の施設しかないため、割と特定されやすいとも言えます。

DV・モラハラを行う加害者は執念深い人が多く、被害者が逃げ出すことによって「なんとしてでも見つけ出してやろう」と躍起になる人も珍しくありません。

所在地等が公開されている母子生活支援施設への入所は「安全」とは言い難いです。

ですので、DV・モラハラで悩まれている人は、所在地等が非公開となっているシェルターへの一時避難が好ましくなります。

(詳しくは市区役所の「子育て関連」の部署への相談が良いでしょう。)

 

 

さいごに

今回は母子生活支援施設へ入所するべき人、考え直すべき人について書きました。

なぜ今回こういったネタにしたのかと言いますと、

母子生活支援施設に入所後、決まりの多い施設内での生活に嫌気がさしてせっかく入所できても短期間(1か月以内)で退所してしまう人が一定数いたからです。

母子生活支援施設を利用するまでには、面接や多くの書類の提出も必要になりますし、手続きが順調であっても場合によってはすぐに入所できずに長い間順番待ちしてやっと入所したという人もいます。

それなのに、いざ入所してから「こんなはずではなかった…。やっぱり帰りたい。」という気持ちに なってしまってはもったいないですよね。引っ越しするのにも労力や費用がかかります。

女性一人で子どもを育てていくことは簡単なことではありません。

利用できる制度があるのであれば助けてもらうことも母子にとって良い選択であると思っています。そのうちの一つが「母子生活支援施設」なのです。

生活に困っている母子にとっては大変助けになる施設ではありますが反面、集団生活ならではの決まり事も多いのも事実です。

メリットとデメリットが背中合わせではありますが、

デメリットをデメリットと感じない…いやそんなことを言っている場合ではない!!今の生活を何とかすることが先だ!!

という考えを持てる人であれば、かなり住み心地が良いと感じることができる施設です。

反対に、

ちょっと、監視されてる気がする…窮屈そうだなあ…

と感じる人は、一般の賃貸に引っ越すか、実家の親元で生活される方があっているように感じます。

以上が、実際に「母子生活支援施設に入所した経験」を持つ私が 感じた、

「母子生活支援施設に入所する前にしっかり考えてほしいこと」

なのです。