一度は好きあって結婚した仲でも、その時に相手の素性をすべて知っているとは限りません。結婚後に「実は相手がとんでもない人だった…」なんて話は珍しくもない話となっています。
「とんでもない人」の中には、近年問題とされている「DV・モラハラ加害者」も含まれています。
彼らの生態はいまだ謎が多いものの、多くの加害者には
「暴力」
「暴言」
「経済的に何かしらの問題がある(浪費など)」
「配偶者を私物化(奴隷扱い)する」
「ナルシスト(自分が一番思考)」
「感情の起伏が激しい」
「嘘つき」
など、困った言動があるという共通点があります。
本当は、結婚や同棲前にDV・モラハラ加害者の本性に気が付くことができれば一番良いのですが、彼らはその素性を他人に見せることはありません。
彼らの中では、たとえ相手が彼氏彼女であっても、肉親以外は基本的に「他人」という思考あるからです。他人から家族という立ち位置になるのはおそらく入籍を済ませた段階でしょう。そうなるともう手遅れです…。なかなかDV・モラハラ加害者の元から逃げ出すことができなくなります。被害者が最も恐れているのは、「加害者の報復」だからです。
ですが、被害者は加害者の元から逃げ出さないことには、「自身の幸せ」はいつになっても来ることはありません。
そこで今回は、実際にDV・モラハラ加害者の元から無事に逃れることができた私の体験から、「元夫との連絡を完全に遮断した話」を書いてみたいと思います。
通信手段の遮断
元夫の携帯電話を解約
婚姻期間は、お互いに携帯電話を所有していました。しかし、名義は両方とも私のもの。元夫には「携帯電話を契約できないくらいの信用情報も悪さ」があったのです。当時から、携帯電話の契約すらできない元夫に対しての不信感があり、携帯電話代の支払いも私が二人分おこなうという謎ルールにも納得していませんでした。(私の名義ですので、支払いが滞ると私の信用情報が悪くなります…)
そんな状況での携帯電話の使用でしたが、結果的にこれが「DV・モラハラ」からの脱却に味方をすることになりました。
私は元夫のもとから逃げ出す前に「元夫が使用している(私名義の)携帯回線の解約」をしたのです。私の場合は、元夫が暴力沙汰で警察に拘束されている期間があったため、その間に逃げ出す準備をしながら、並行して元夫分の携帯電話の解約も行いました。
単純に「無駄に元夫の使用料まで払いたくなかった」というのもありましたが、「簡単に連絡が来ることが嫌だった」というのもありました。
結果的に、私が家を出てから一度も元夫から連絡が来ることはありませんでしたが、元夫の携帯電話を解約しただけではまだ心配だったので、私自身の携帯電話も少しいじることにしました。
私使用の携帯電話の設定を操作
当時、スマートフォンがかなり普及していましたが、この頃私はまだスマートフォンではありませんでした。
メールアドレスの変更
当時の携帯電話は「キャリアメール」のアドレスのみの利用が可能でした。今みたいにフリーメールを使うことのできる機能まではなかったように思います。実際に私も1つのアドレスしか使っていませんでしたので、このメールの@以前のアドレスを変更することにしました。これはネット上で簡単に手続きができるものでしたので、特に問題はありませんでした。
アドレスを変更しておくことで、元夫からのメールを事実上遮断することができます。(親族や友人とのメールも遮断することになりますが、必要であれば個別に連絡することで何とかはなりました。)
迷惑電話拒否設定
メールアドレスは簡単に変更できましたが、電話番号は「解約」しないことにはどうにもなりませんでした。しかし、元夫との連絡は取らないにしても、この先「連絡手段(携帯電話)が全くない」というのは私にとってはかなり困ることになります。
ということで、完全に元夫からの連絡を絶つことができないかもしれませんが、元夫がかけてきそうな番号と公衆電話・非通知からの着信は全て着信拒否の設定にすることにしました。これも端末だけで設定ができたので、それほど難しくはありませんでいたが、少々面倒くさかったように記憶しています。
以上2点のことをおこない、元夫からの連絡を絶つことにしました。
(のちにスマホへ変更と同時に番号も変更しました。)
物理的に離れる(居住地を変える)が住民票の移動はダメ
DV・モラハラ加害者と言っても、子どもとっては父親ですし、離婚成立までは配偶者ですので結構簡単に「戸籍」をとることができてしまいます。もし、住民票を現住所地に引っ越しさせてしまうと、簡単に相手にも居場所がわかってしまいます。
そうならないように、「住民票はもともと住んでいた地」のままにしておくことがすすめられます。もちろん誰もができることではありませんが、DV・モラハラの被害にあわれていて配偶者の元から別の地へ身を隠すためであるならば役所で相談に応じてもらえます。
特に子どもがいる場合には、
- 予防接種券の発送
- 小・中学校の入学
などに影響しますので、しっかりと手続きをした方が良いです。
離婚成立後は住民票の移動が可能
厳密にいうならば、離婚前であっても住民票の移動はできます。
しかし、住民票を移動させてしまうと追手に「ここにいますよ」と教えてしまうようなものですので、少なくとも晴れて配偶者と他人となる「離婚が成立するまで」の間は、住民票の移動をしないほうが賢明です。
しかし、自分自身は配偶者と「他人」になっても、子どもは「子ども」です。子どもの情報を通じて「居場所がばれてしまう」こともあります。
そのリスクを回避するためにも、住民票自体に閲覧制限をかけることになります。住民票の閲覧制限をかけることで、住民票を取りに行くだけでも身分証の提示が必要になり、都度窓口での特別な手続きが必要となるため、本人以外が住民票などの取得に行くことができなくなります。(必ず窓口での請求となるため、機械での発行もできません)
住民票の閲覧制限は誰もができるわけではない
住民票の閲覧制限(通称:支援措置)は、市役所の戸籍課などで相談を受け付けてもらえます。閲覧制限に関してはきちんとした理由が必要で、「DV・モラハラ」「虐待」などであれば支援してもらえる可能性が高いです。(ただし、内容の聞き取り面談あり)
間違っても「借金取りから逃れたい」といったことでは認められませんので、注意が必要です。
住民票の閲覧制限は期限付き
住民票の閲覧制限は1年という期限付きです。
その後は自動更新されることなく支援が終了しますが、更新することでその後1年の延長が可能です。ですので1年に1回は市役所に赴き、面談をおこない、住民票の閲覧制限をかけ続けることになるのです。もちろん、更新しないことも可能で、その場合には市役所に手続きに行かないことで更新されずに自動的に支援終了となります。(一応支援終了となる前に再度確認はされます)
私の居住地域では、支援期限の1か月前くらいに戸籍課から「支援措置の期限が近いです」と電話もあります。電話をもらったら、市役所に行く日時を決めて、手続きに向かうという流れです。
加害者との接触は避ける(調停や裁判をおこなう場合はなるべく弁護士に依頼)
弁護士に依頼するとなると、お金の絡みもありますのでなかなか前向きになることができませんが、
- 加害者との直接的なやり取りをしたくない
- 確実に離婚を成立させたい
人は、弁護士の無料相談に行くべきです。(そのまま契約に向かう可能性もありますが、弁護士費用を分割で支払うことができる「法テラス」の案内もしてもらえます)
弁護士に依頼することで、加害者とのやり取りを一切しなくてもよくなり、話し合いとされる調停から関わってもらうことで万一裁判となった場合でも話が早く、スムーズに事が進みます。
私の場合は、元夫との連絡を取ることも嫌でしたが、元夫からの連絡ツールをすべてシャットアウトしていたため、弁護士に依頼してすべてをお任せするしかなかったのです。
さいごに
私は元夫から逃れるときに
- 物理的なつながりを断つ
- 元夫のことを「1人残されてかわいそう」「生活していけるかしら?」などど考えないように精神的に絶つ
- 一切連絡をとれないように音信不通にする
にすることで、家を出てから今まで1回も元夫と連絡を取ったことも無ければ、もちろん顔も見ることもありませんでした。
結果、無事に離婚も成立したし、親権も私が持つことになっています。ただし養育費の取り決めはしていませんので1度ももらったことはありません。
慰謝料・養育費はもらうことができませんでしたが「気を使うことのない自由な時間と楽しい生活・安定した生活」を手に入れることができたので私は満足です。
DV・モラハラの加害者は「常識的な話が通じない」タイプが多いです。話し合いでの離婚はまず不可能です。
だったら、「話し合う必要はない」のです。彼らと絶縁するのであれば連絡手段や接触を断つことが最も大事なのです。
では、「なぜ加害者との接触を断つことが大事なのか?」といいますと、そもそもDVやモラハラは、加害者と被害者の間で「主従関係」に近い状態で成り立ってしまっていることが多く、被害者は加害者に対して意見を言うこともできないこともあります。
また、加害者は変に弁が立つ人が多く、言葉巧みに被害者に対して「自分の思い通りに
行動をしてもらおう」と様々な手段を用いて説得を試みてくるからです。(恫喝・脅迫・泣き落とし・嘘などなど)
モラハラ加害者は、基本的には被害者との別れを嫌がります。あの手この手を使ってでも、自分の手から離れていくことを阻止しようとしてきます。ですが、まともな話し合いもできない人たちなのです。(一方的な主張はされますが、被害者側の話は聞き入れません。)
と、言うことなのでモラハラ加害者と本気で決別をすることを考えるのであれば、とにかく加害者との接触をしないことが一番ではないかという結論となるのです。