母子生活支援施設とはどういうところか知っていますか?
児童福祉法に基づいて、18歳未満の子供を養育する女子、または何らかの事情でそれに準じた女子とその子が利用できる施設です。
児童福祉施設の位置づけなのです。
私はとある事情から1年8か月間お世話になっていました。
今回は、「母子生活支援施設」がどのような所か?利用するにはどうしたらよいか?などを1年8か月の記憶を思い出しながら書いていきたいと思います。
利用できる人
先にも書きましたが、利用できる人は基本は18歳未満の子とその母親です。
近年では、家庭内の事情でお母さんとその子どもが緊急に入所するケースが多いです。この場合は、何らかの事情で~という項目に該当します。
母または子のみの利用はできません。
(母のみの利用の場合は、婦人保護施設での扱いとなり、子のみの利用は、児童相談所の扱いとなります。)
利用できる期間
施設内では、子どもが18歳になるまでは親子で暮らすことができます。しかし、多くのところでは利用者順番待ちの関係もあり、「生活のめどがつくまで」としているようです。
3年ほどの期間を定めているところもあります。
母子生活支援施設への入所の目的は、「母と子の自立を支援する」事であり、「生活を助ける」ことではないからです。
そして一生この場で暮らしていけるわけでもないので、施設にお世話になっているうちに、自立できるように生活の基盤を作らなくてはならないですね。
あくまでも、自立を支援する施設なので入居中に、母親が仕事を行い、今後の生活のためにある程度の貯金していく必要があります。
私は、「広域利用者」であったためか、「2年以内に自立できるように」と言われていました。(後述)
母子家庭なら利用できるの?
申請したら必ず利用できるものではありません。多くは、市町村の福祉事務所経由での申込みになりますが、ある程度の緊急度も必要になります。
入所している世帯の実例
以下の人たちは、私がお世話になっていたときに実際にこのような事情で入所していた人たちがいました。
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- 自宅に住めなくなったなど、緊急に住居が必要になった母子
- 経済的理由により住居に困っている母子
- 母親に障害があるため、見守りが必要な母子
- 児童相談所から見守りが必要と判断された母子
- 母親の心身に不安な母子
- その他、行政が必要と判断した母子
簡単にまとめるのであれば、
『住居がなく、お金もない子どもを連れた母親』または『見守りが必要と判断された母子』であれば、入所が可能です。
母子生活支援施設に入所できる緊急度とは?
直ぐに利用するには、「明日から寝る場所がない」くらいの緊急度は必要になります。
後にも書きますが、「児童福祉施設」であるため、利用料は無料または格安です。ですが、「生活していくにあたって家賃分を浮かせたいから」という理由だけではなかなか入所はできません。
今現在、住居に困っているわけでもなく、生活に不安がない場合での申し込みは良くて順番待ち、最悪門前払いとなってしまいます。
広域利用
母子生活支援施設は全国各地に存在します。
場所によっては順番待ちのところもありますし、住環境に不便さを感じる地域では定員割れをしているところもあるようです。
基本的に母子生活支援施設を利用するにあたって、居住地の自治体での申し込みとなり、自治体内の施設の利用となるのですが、
- 配偶者からのDVなどで離婚を前提に居住地から遠く離れた場所で生活を望む母子
- その他緊急度が高いが、自治体内の施設が満員で利用ができない
などの理由がある場合は、福祉事務所の判断と調整で他自治体の母子生活支援施設に入所することができます。
詳しくは自治体の「福祉事務所」で確認すると良いでしょう。
私は実際に広域利用でした
私は、緊急性があると判断してもらえ、広域利用という形で県外の施設に入所しました。
当時の私の状況は以下の通りでした。
- 子ども2人(6歳、1歳)を連れていた
- 元夫との間に警察が介入するくらいの出来事があった
- 事前に市役所に元夫とのことで相談に行っていた記録があった
- 外傷などの診断書は特になし
- 貯金はなし、所持金もさほどなし
- 離婚の意志あり
- 元夫と物理的に距離をとりたかった(元夫が凸ってこないように)
- 実家等、頼れる親族がいない
特に赤字の項目は、重要事項だと思われます。
私の場合は、元夫が簡単に来ることのできないくらいの距離で空きがある施設を探してもらいました。
入所世帯数
その施設の規模によりますが、多くが 1施設に20~40世帯 入居できるように居室が用意されています。(そのほとんどが順番待ちのような状態となっています。)
子どもに対しての支援
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- 施設の職員は、子どもに対しての悩み相談や学習支援も行ってくれます。
- 児童クラブとして活動をしてくれます(学童)
- 母親が仕事などで不在の時は保育をしてもらえます。(未就学児)
- 必要に応じてカウンセリングを行うこともあります。
- 日々の遊び相手にもなり、行事がある月はレクリエーションも行ってくれます。(ひな祭り、クリスマスなど)
- 年に1~2回旅行に行ったり、遠出のお出かけに連れて行ったりもしてくれます。
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母親に対しての支援
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- 働ける母親には仕事のあっせん、就労指導をしてくれます。
- 離婚調停や裁判の手続きの手伝いや相談にものってくれます。
- 金銭管理ができない母親の代わりに家計を預かることもあります。
- 母親に対する食育指導もします。
- 退所後に暮らす住居探しの手伝いもしてくれます。
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母子生活支援施設内
居室の広さ
これも、場所によるところがあるのですが、1DK~2DKのところが多いです。
子供の人数に応じて、狭すぎない居室を用意してもらえますが、一時的な住居でもあるため、多少の狭さは我慢になりますね。
ちなみに私がいたところでは、子どもが1人の場合は1DKの部屋を割り当てられ、子どもが2~4人場合は、2DKの部屋を割り当てられていました。
子どもが4人以上の世帯は1世帯しかありませんでしたが、聞いた話では4人以上の子持ちの人はもう少し広い部屋のある施設に行くように調整していたそうです。
お風呂・トイレ・キッチン等
これも、場所によります。
共同のところも存在しますし、本当に普通のアパートのように1世帯づつ個別になっている場合もあります。
その他の部屋
共有場所として施設内に、学習室や相談室・子どものプレイルームなどもあります。
外には子ども用の遊具が置いてあるところもあり、ちょっとした公園のようにもなっています。
職員室
24時間職員が常駐する事務室が建物内にあります。職員室の前を通らないと居室にも行けず、居室から外に出ることもできないような構造になっています。
防犯上の理由から、監視カメラも設置されています。
家賃・費用
家賃はかからないことが多いです。ですが、所得が多い場合には少額の家賃が発生することもあります。
水・光熱費、通信費などは各世帯持ちです。
母子生活支援施設に入所するメリット
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- 母子生活支援施設に入所するにあたって、家賃がかからない(または格安)
- 職員がいるため、気軽に相談できる
- いざという時、大人(職員)の手助けがある
- 同じ境遇の人が多い
- 家賃がかからないため貯金をしやすい
- 経済的に楽になる(住居費がかからないため)
- 子ども同士も母親同士も同じ境遇なので仲良くなれることも
- 福祉施設ですので、各家庭に寄付があることも
- 就活がしやすい(面接官の「子ども」という問いに答えが返しやすい)
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母子生活支援施設に入所するデメリット
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- 職員に頼りすぎてしまい、甘えが出てしまいがち
- あくまで期間が限られているので、いずれは引っ越しをしなくてはならない
- 特殊な環境にはなりますので、馴染めない可能性も…
- 門限に厳しい
- 母親に対する指導もある(普通にしている分にはどうってことなし)
- 近隣住民に好奇な目で見られる
- 自動車の所有が難しい(施設によって違いあり)
- 人によっては「監視されている」と感じることも…
- 普通のアパートと比べると、意外と人と人の距離が近いため、近所付き合いが大変に感じることも(特有の雰囲気です)
- 「いつかは引っ越さなければいけない」という焦りを感じることも
- 『広域利用』になりますと、慣れ親しんだ町とお別れになることも
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さいごに
今回は母子家庭のセーフティネットでもある、母子生活支援施設に関しての情報を書いてみました。
今現在、生活に困ることのない母子家庭の方は入所するメリットはほぼないでしょう。
経済的に困窮していて、何とか生活を立て直したいと思っている世帯のママは利用の価値がある施設です。
正直なところ、母子生活支援施設には、本当に想像できないような様々な人が入所しています。
お互いが助け合えるような関係になればそれも良いのですが、そうでもないことの方が実際には多いです。これは、入所者の大半が、自分の家庭を守ることに必死過ぎるからという事もあります。
ですが、自分(の意思)を持って生活できる人には良い施設になることは間違いありません。生活に困っている母子世帯は、上手に利用できると良いですね。
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