母子生活支援施設を利用するにあたっての決まり事

母子家庭(もしくは離婚を前提に考えている母子・それに準じた母子)にとって、心強い施設です。一般的なアパートに近い住居であるところや、水回りを共同で使用する施設など、場所によって多少の違いはあると思います。ですが、あくまでも施設であってアパートやマンションではありません。

他に利用する人や、職員に迷惑をかけないように最低限のルールはあります。

今回は、一例として私が利用した母子生活支援施設の決まり事を書きたいと思います。

母子生活支援施設とは

配偶者のいない女子、またはこれに準じる事情のある女子及び、その者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立を促進するために生活を支援することを目的とする施設です。(児童福祉施設です)

入所前の説明

入所1週間前に、面接があります。

入所の目的、自立の予定時期、入所に対する心構えなどを聞かれます。ここで、あいまいな答えを出していると、入所の選考から漏れてしまうこともあるようです。(めったにはないと思われますが…)

母子生活支援施設は、今いろいろな人が順番を待っている状態です。施設数<利用希望者数であることが実情です。

面接のときにしっかり答えられるようにしておくほうが良いですね。

入所当日

施設長や担当職員との面談があります。この時に、必要書類が何枚か渡されます。提出期限に間に合うように記入して提出してください。

書類一例

  • 自立計画表
  • 入所に関する誓約書、緊急連絡先
  • 家具・電化製品を借りるための書類(施設側から貸し出してもらえます)
  • 役所関連の書類

など‥‥。

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母子生活支援施設の建物内で生活するには決まりごとがたくさんあります

共有スペースの使い方

母子生活支援施設内に入ったら、上履きに履き替えます。施設内の廊下や階段、子どもたちのプレイルーム内は上履きでの移動になります。小学校のようなイメージですかね。わざわざ入り口で靴を履き替えるのは少々面倒なのですが、衛生的な観点から仕方のないことです。

この共有スペースは、利用者が交代で掃除をします。(大体週1回くらいで順番が回ってきます)利用料が無料または格安なので、ここは入所できていることに感謝して、しっかり当番を務めましょう。

各居室の使い方

あくまで一時的な住居にしか過ぎません。どんなに長くても、子どもが高校を卒業した段階で退所しなくてはなりません。

退所した後も、他の人が利用していく場所です。丁寧に利用したいですね。

母子生活支援施設では、24時間職員が常駐しているため、一般的な集合住宅より決まりが厳しめです。下駄箱・居室・ベランダの整理整頓まで指導されます。

そして、きちんと掃除がされているか、子どもの生活環境が整っているかを確認するために定期的に職員による居室点検が行われます。ここで、あまりにもひどい状態の場合は、職員から指導が入ります。

水光熱費

これは、各居室ごとに請求されます。通常のアパートと同じ要領です。ただ、福祉施設であることから、NHK・下水道基本料金は免除になります。

公衆電話

職員室前には、公衆電話も設置されています。「いまどき??」と感じるかもしれませんが、何かしらの理由で夫から逃れて来た人も多数います。こういった人たちは、それまで使用していた携帯電話も処分してしまう人が多いです。この人たちの連絡手段として置いているものだと思われます。利用時間の制限はありませんが、常識範囲での利用が良いでしょうね。

ペット

当然と言えば当然ですが‥‥生き物の飼育はできません。(騒音・衛生上)

相談事等

施設の職員は常駐しています。わからないこと、困りごとなどは相談に乗ってくれます。ただ、職員も勤務中です。通常業務の合間に時間を割いて相談に乗ってくれます。

簡単なことはなるべく自分で解決し、どうしてもという時には簡潔に手短にわかりやすい言葉で相談できると、職員にも迷惑が掛かりませんね。

資源回収当番

町内会の順番で回ってきます。(2年に1回程度ですが…)

朝7時ごろから8時くらいのあいだ、集積場に立って集まってきた資源ごみを仕分けます。大体2~4人一組で行います。(この制度には地域差があると思います。)

子どもの養育

子どもにとってよりよい生活にするために、規則正しい生活リズムを心がけ、日常に必要な最低限のしつけを行い、子どもとの時間を大事にします。

一緒に暮らしている母親が心身ともにに落ち着いていないとどうしても子どもも落ち着かなくなってきます。子どもは親のことをよく見ているのです。

利用者は、何らかの事情があって施設に入所したわけですから、落ち着かないことも理解できます。慣れない生活をしているのですから無理もありません。

ですが、子どものことには責任を持ちたいですね。

施設内の生活に慣れてきたら、必ず子どもに目を向けた生活をしていきましょう。

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出勤・登校・登園など

母子生活支援施設はあくまで自立を促すための施設であるため、母親は仕事を探さなくてはいけませんし、子どもは年齢に合わせて学校や保育園に行きます。

きちんと規則正しい生活しているのかを把握する意味もあり、これらを休む場合には職員にも連絡する必要があります。

未就学児の保育

施設内には保育士もいます。いざという時に預けることができますが、保育園に入所している子はそちらが優先となり、保育園に入れない子(待機児童等で)が優先的に施設内での預かりがしてもらえます。

基本は仕事をしている母親が優先されますので、リフレッシュ目的の方は優先度が下がります。

金銭関係

入所者同士の金銭のやり取りは禁止です。当たり前ですね。

母子生活支援施設は通常の集合住宅よりと隣近所との距離が近いのです。距離と言っても物理的な距離ではなく、精神的な距離でしょうか?上履きを履いて同じ建物の設備を共有し、そしてどの世帯も母子家庭…。この状況では、なんとなく一体感が出てしまうのも無理ないですよね。

と、いうことでお互いの距離が近くなると、金銭問題が起きても不思議ではありません。そこで、決まりの中に組み込まれていると思われます。この金銭の中には、貸し借りはもちろんですが、商売関係も含まれています。

「○○円支払うから子ども見てて!!」「これ○○円で買わない?」といったこともNGですよ。

入所者の外泊

外泊は指定用紙に記入をすることによって可能です。

この届には誰とどこに行くかいつ帰宅するかを書きます。そして、施設長の許可が出たら外泊できます。

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外部からの宿泊

来客を施設内に泊める場合です。

これは、入所者の二親等以内の親族女性のみ許可が出ます。(事前に申請します)

母子生活支援施設という特性上、男性(親族含む)や友人などは宿泊できません。

来客

居室内にお客さんを呼ぶことがあると思います。これは職員に口頭で伝えておくだけで良いのですが、女性と子どもが暮らしている場であるため、他人に迷惑にならないように利用者側にも決まりごとがあります。

女性の友人については制限がありませんが、中学生以上の男性は友人であっても施設内に入ることができません。

男性親族の場合でも制限があり、女性親族立ち合いのもとようやく施設内に入ることができます。(例えば入所者の父親・兄弟などが入所者の母親とともに来ることはできます)

来客は20時までに帰宅が求められています。

自転車(自前・貸し出し用)

居室ごとに決められた駐輪場が用意されています。周りに迷惑にならないように止めましょう。

施設内には、貸し出し用の自転車も用意されています。必要な手続きをすると自転車を貸し出してもらえます。貸出時間の制限はありませんが、みんなで使用する自転車のため、常識的な時間で借りたいですね。

宗教

信仰は自由ですが、施設内で他の利用者さんを勧誘することは禁止されています。

避難訓練

月に1回避難訓練を実施します。これは、児童福祉施設であるために行われることです。保育園や学校と同じです。

母親集会

月1回町内会のような集まりでしょうか…。母子生活支援施設独自のものです。

この場で諸連絡、要望などがあれば話し合いの場にもなります。

就労・子どものアルバイト

母親の就労や子どものアルバイトは基本的にOKですが、許可されない仕事があります。

  • 外泊を必要とする仕事
  • 門限(22時)を過ぎる仕事
  • 子どもの健全な育成を妨げる仕事などです。

就労をしたとき、やめた時などは逐一職員に報告が必要です。母子生活支援施設の職員は、自立を支援するために、入所者全ての働き先を把握している状態なのです。

健康診断

年2回無料で行ってくれます。全員強制参加ですが、職場の健康診断が受けられる人はその結果コピーを持ってくることによって、受けたとみなされます

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門限・消灯・入口門の施錠

門限が決められているため、22時には出入りができなくなります。当然、買い物もこの時間の前までに済ませる必要があります。

ちなみに朝は6時すぎないと出ることができません。これは、防犯上の決まりです。

その他

施設の運営上、必要とされる時には協力しなければならないこともあります。

  • 不在時の職員の入室(居室点検、非常時等)
  • 自立のための面談
  • 書類の提出
  • 居室の移動(居住人数と部屋の広さに応じて)

退所

2週間前までに退所届けを提出します。

居室の破損は、入所者負担で修繕します。掃除も行って退所します。基本は原状回復です。もちろん、公共料金の精算も済ませます。

退所のパターンはいろいろあります

  • 経済的自立(もっともよいパターンですね)
  • 子どもが高校卒業を迎えた(ぎりぎりまでお世話になったパターンですね)
  • 決まりを守れずに秩序を乱して退所処分(もっともあってはならないことです)
  • 出会いがあって結婚した(意外と多いです)

さいごに

いかがでしたか?母子生活支援施設は、アパートではなくあくまで施設です。そのため、施設内での決まりごとの量もかなりありますが、母子生活支援施設の入所を検討されている人は少なくありません。

なので、軽い気持ちで入所を考えることはやめたほうが良いと思います。

「タダで住めるから!」「職員に子供の面倒を見てもらえるから!」

などという理由で入所すると痛い目を見ることは間違いありません。

「本当に生活を立て直したい」「お金をためて早く自立をしたい」

という強い意志を持っての入所が望ましいと思います。

今回はとある母子生活支援施設の決まりを経験をもとに書きました。

施設によって詳細が異なる場合はありますが、おおむね似たような決まりになると思います。もし、検討されている場合にはきちんと入所希望の施設で確認をしたほうが良いですね。

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